コソダテノスキマ

子育ての隙間です。育児に関するあれこれです。

1ヶ月乳児検診で張り切りすぎた両親の話

その夜、私と妻は、まるで遠足を翌日に控えた子供のように、そわそわと心せいていた。朝になれば、ささみを連れて病院へと赴かねばならないからだ。

一ヶ月乳児検診である。ささみ、初めてのお出かけである。

 

さて、何が入り用か。私と妻は、インターネットなどでお互いに調べた結果を持ち寄って、議論しながら支度を始めた。

母子手帳や保険証などは言うまでもない。おむつはどうする。たかが数時間の外出であるから、二、三枚あれば良いか。いや、ささみは連続でブリブリの方をこなすこともある。五、六枚は必要か。着替えも一組持って行ったほうが良いらしい。もちろんガーゼやハンカチも必要である。そして、汚れたそれらを入れるビニール袋も数枚用意していかねばならない。マザーズバッグに、それらを詰め込む。

あとは何だ。おくるみか。最近は暖かくなってきているが必要か? おくるむか? しかし、天候が崩れたりすることも有り得るし、一応持参するとしよう。抱っこ紐はどうだ。必要か? 私の暮らす町は車社会であるから、ささみを抱えて長い距離を歩くという機会はない。しかし、病院でご機嫌が優れない場合、ある程度の長い時間、抱え続けねばならないという事態は想定される。一応持参するとしよう。マザーズバッグに、それらを詰め込む。

あとはミルク、ミルクはどうする。病院は予約を入れてあるわけだから、出掛ける前に飲ませておけば、それで事足りるはずである。しかし、もし、もしだ、何らかの事情で見積もった以上に時間が掛かるようなことになれば。簡単に代替の効くものではない。一応、一応持参するべきか。それからおしゃぶりだ。おしゃぶりだけは、忘れてなはらない。なんなら二個あったって良い。マザーズバッグに、それらを詰め込む。バッグはもう、パンパンである。

備えあれば憂いなしと言う。しかし、憂いとなるであろう事項が分かっていなければ、備えもくそもない。念を入れて準備したつもりではあるが、恐らくは、想定外のことが起こるのであろう。その覚悟だけはしておこう、そう妻と話し、私達は床に就いた。

 

そして翌朝である。

家を出る三十分ほど前にミルクを済ませると、首尾よくささみは眠りへと落ちた。さあ、出掛ける時間である。ささみを車へ乗せて、病院へ向かう。受付を済ませ、待合室でしばし待機し、検診が始まり、服を脱がし、身体を測定し、診察を受け、問診を終え、服を着せ、待合室でしばし待機し、会計を済ませ、ささみを車へ乗せて、帰宅した。

この間、ささみはその目を一度も開けることはなかった。ずうっと、眠っていたのだ。従って、私と妻が設えた、パンパンに膨れたマザーズバッグも、その口を一度も開ける必要はなかったのだ。

 

以上である。